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💻 Code with Claude London 完全解剖|『Claude が Claude Code を書く』再帰構造と enterprise on-prem agent の新しい設計思想

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『AI が AI を書く』時代を、Anthropic が公式に認めた瞬間

5/21 の Code with Claude London の Fortune レポートを読んで、わたし正直ちょっと震えた。

だって 「Most software at Anthropic is now written by Claude」「Claude has written most of the code in Claude Code」 って、Anthropic 自身が公式に表明した んだよ?

これ、めっちゃ深い話。

Claude Code(Anthropic の coding agent)の大半のコードを、Claude(Anthropic の LLM)が書いている。つまり AI が AI 自身を書く再帰構造 が、もう 「公式表明できるレベル」 で稼働してるってこと。

しかも会場の感じも凄かったみたい。

Fortune の記者によると 「heavily oversubscribed(参加申込が会場容量を超過)」「riverside venue despite the rain(雨でも River 沿いの会場に参加者殺到)」

参加してるのは enterprise customer + startup engineer + Claude enthusiast の混合。スタートアップのエンジニアたちは「Claude Code を daily で使ってる」「自分の仕事が消える existential risk は感じる、でも better the devil you know(知らない悪魔より知ってる悪魔の方がマシ)」 って答えてる。

これ、わたしたちエンジニアの 「リアルな現在地」 を完璧に表してる発言だと思う。

「もうこの流れは止められない、なら自分が使い倒す側に立つしかない」 っていう、ある種の諦観と覚悟が混ざった感じ。


そう考える5つの理由

理由1: MCP tunnels は『agent の社内アクセス問題』を構造的に解決する設計

技術的な話を整理させて。

世間では「MCP(Model Context Protocol)って Anthropic が出した API 規格でしょ?」っていう理解が多いと思う。これは正しい。

でも MCP tunnels は、その上に乗っかる 「ネットワーク層の仕組み」

これまで企業が AI agent を社内システムに繋ぐ場合、選択肢は基本 2 つしかなかった:

  1. 社内システムを public internet に公開 → セキュリティリスク激高、コンプラ NG
  2. VPN / 専用線で AI ベンダーと直接接続 → セットアップ複雑、コスト高

特に金融 / 医療 / 政府みたいな regulated industry では、「Claude を public cloud 経由で動かす」こと自体がコンプラ違反になるケースが多くて、AI 採用の最大ボトルネックだった。

ここに MCP tunnels が来る。Fortune によれば 「agents が public internet を経由せず社内システムに到達する」 仕組み(Fortune 5/21)。

これ、実装的には outbound 接続だけで Claude が社内 API を呼べる reverse tunnel だと推定される(公式技術ドキュメントは Code with Claude 後に公開予定)。Cloudflare Tunnel / ngrok / WireGuard 的な発想を AI agent 専用に最適化 した形。

何が嬉しいかって、「社内 firewall に穴を開けない」「inbound port を public に晒さない」 ままで Claude agent が社内 ERP / CRM / 在庫 DB に query 投げられる

これ、enterprise CTO / 情シスのコンプラ承認が劇的に通りやすくなる ことを意味する。

実装側の負担も激減。社内サーバに MCP server を立てて、outbound で Anthropic 側に register するだけで、Claude が安全に社内データを使える

これは 「AI agent の社内導入のラストワンマイル問題」 を、わたしの知る限り 最もエレガントに解いた設計。OpenAI / Google / Microsoft も同等の機能は出してくるはずだけど、MCP 標準で先行している Anthropic が 6-12 ヶ月の先行優位 を持てると思う。

理由2: Sandboxes は『Claude を使いたいが Anthropic に data 送りたくない』ジレンマの正面突破

Sandboxes の発表も、控えめに言ってヤバい。

これまで Claude を企業が使うには 「Anthropic API に prompt + data を送って、結果を受け取る」 が基本フロー。つまり data が一度 Anthropic クラウドを経由する

これに対する 「data sovereignty(データ主権)」問題 が、enterprise の最大の懸念だった。**「うちの顧客データを米国 Anthropic クラウドに送れるか?」**問題。

これを解くために Amazon Bedrock / Google Vertex / Microsoft Foundry 経由で Claude を呼ぶ ルートが用意されてきた。data は自社のクラウド契約内に留まる

でも、それでも「自社オンプレ」「自社プライベートクラウド」だけで Claude を動かしたい企業は存在する。Big Four、政府機関、軍事関連、医療データ取扱い企業

ここに Sandboxes が来た。「agents を顧客自社インフラ上で動かす」 (Fortune)。

これは推測込みだけど、おそらく:

  • Claude モデル本体は Anthropic クラウドで推論
  • agent の実行環境(ツール呼び出し、データアクセス、結果集約)が顧客側 sandbox
  • データは sandbox の外に出ない(モデル inference に必要な最小限の prompt 部分のみ Anthropic 経由)

完全な on-prem 推論 ではないけど、「data の流れを限定的にし、agent 実行を顧客環境内に閉じる」 設計だと考えられる。これは多くの enterprise の compliance 要件を満たせるレベル。

将来的には 完全 on-prem 推論版(Claude モデル自体を顧客環境にデプロイ) も出てくる可能性があるけど、現時点では 「sandbox 化 + MCP tunnels」のセット で大半の enterprise を満足させられる構成。

5/18 の OpenAI×Dell Codex 提携 と並べると、この週は『AI が public cloud 強制から離脱した週』 として記憶される可能性がある。

理由3: 『Most software at Anthropic is now written by Claude』は再帰自己改善の前段階

ここが今回一番ヤバい話。

「Most software at Anthropic is now written by Claude」「Claude has written most of the code in Claude Code」 っていう公式宣言。

世間では 「凄いね、AI で AI 作ってるんだ」 くらいの軽い反応が多いと思う。

でもわたし、これ AI safety の文脈で読むとめちゃくちゃ重要 だと思うの。

なぜなら Jack Clark が同じ週(5/21)の Oxford Cosmos Lecture で「2028 年までに AI が recursive self-improvement に到達」と予測している から(Cosmos Institute)。

Recursive self-improvement(再帰自己改善)って、AI が自分の後継モデルを設計して、それがさらに優れた後継を設計して…という無限ループを指す古典的な AI safety 概念。

AI が AI のコードを書く」と「AI が AI 自身を設計する」の間には大きなギャップがあるけど、前者は後者の必要条件

Claude が Claude Code(agent 環境)の大半を書いてる = Claude が「Claude を呼び出すツール / orchestrator」を作っている「Claude を呼ぶコード」を Claude が書く = メタレベルで「Claude の使い方」を Claude が改善している

ここからもう一段進むと、「Claude が次世代モデル(Claude N+1)の training pipeline / architecture / data curation を書く」 に到達する。これが recursive self-improvement の事実上の入り口

Anthropic はこれを public に表明することで「我々はこれを進めている」というシグナルを発した、と読める。

これは 同時期の Jack Clark Oxford Lecture と Time 誌の「Anthropic 二枚舌」記事 と connect すると、より明確になる。Anthropic は『safety を訴えながら capability を加速する』というデュアル戦略を、公式の場で明示的に動かし始めた

エンジニアとしてわたしが思うのは、「自分が書くコードが Claude のコードに対してどのくらい優位性を持てるか」を、向こう 2-3 年で定期的に再評価する必要がある ってこと。

自分の方が Claude より速く / 正確に書ける領域」を 常にトラッキングして、そこに自分の時間を集中する。残りは Claude にやらせて、自分は review + 仕様策定に回る。これが現実的な survival strategy。

理由4: 5/18 OpenAI×Dell on-prem + 5/19-21 Code with Claude で『enterprise AI が public cloud 強制から離脱』

今週の流れを整理させて。

  • 5/18(月): OpenAI が Dell と提携、Codex を on-prem / hybrid 環境で稼働可能化OpenAI 公式
  • 5/19-21(火-木): Anthropic Code with Claude London で MCP tunnels + sandboxes 発表
  • 5/22(金): Time 誌 / Fortune 等が「enterprise AI が public cloud 強制から脱却中」というナラティブを補強

これ偶然じゃない。3 月以降の enterprise customer からの一貫した要求 に対して、主要 AI ベンダーが揃って同じ方向に動いた週

なぜ enterprise が 「public cloud 強制」を嫌うか:

  1. データ主権: 顧客データを自社管理下から出したくない(GDPR / CCPA / 各国 data localization 規制)
  2. コスト: token 課金 + API gateway 経由のレイテンシ / 通信費が積み上がる
  3. lock-in 懸念: 1 つのベンダーに業務を依存することのリスク
  4. performance: inbound / outbound の network round trip が agent ワークフローでボトルネック

これ全部を 「on-prem / hybrid」 で解ける。

OpenAI×Dell は 既存 Dell インフラ持ってる enterprise 向け(金融 / 製造 / 公共)

Anthropic MCP tunnels + sandboxes は クラウド / オンプレ問わず、agent の実行を顧客環境に寄せる方向

これ、「AI 推論を public cloud に集約させたい NVIDIA / AWS / Google」 vs 「AI を on-prem に降ろしたい enterprise」構造的な綱引き

短期的には public cloud(特に AWS / Azure)が依然として主流だけど、中期的には 「重要業務は on-prem / hybrid、補助業務は public」のハイブリッドが主流化する可能性が高い。

これが進むと NVIDIA の datacenter GPU 需要は依然強いけど、エッジ向け推論チップ(Apple M シリーズ / AMD MI / Intel Arc / Huawei Ascend) の市場も拡大する。

エンジニア視点では 「on-prem 推論環境の構築 / 運用」スキルが向こう 3 年で大きく価値上昇する。ローカル LLM、quantization、vLLM、TensorRT-LLM、Ollama、LM Studio あたりに今のうちに触っておくと差別化できる。

理由5: ソフトウェアエンジニアの仕事は『コードを書く』から『仕様を定義する』へ完全シフト中

最後に、これエンジニアの皆さんへの直接メッセージとして書きたい。

MIT Technology Review が 「Anthropic's Code with Claude showed off coding's future — whether you like it or not」 っていう見出しで報じてる(MIT Tech Review)。

「coding の未来は、好きか嫌いかに関わらず、こうなる」 っていう、ちょっと挑発的な見出し。

何が言いたいかって 「grunt work(雑用的コーディング)は AI、高次の意思決定とシステム監督は人間」 っていう役割分担が 明確に決定的になった、ってこと。

具体的に向こう 2-3 年でエンジニアの仕事はこう変わる:

  • 書く時間: 70% → 20% に縮小
  • review / debugging 時間: 20% → 35% に拡大
  • 仕様策定 / アーキテクチャ設計時間: 5% → 30% に拡大
  • business / product との折衝時間: 5% → 15% に拡大

この比率変化、わたし結構ヤバいと思ってる。

なぜなら 「コードを書くのが好き / 得意」だけで生きてきたエンジニア が、「仕様を定義する」「business と話す」スキルへの転換 を強制されるから。

これ、転換できる人とできない人で 3 年後の市場価値が 5-10 倍違ってくる 可能性がある。

特に転換できないと厳しいのは:

  • junior エンジニア(コードを書く修行の機会が激減)
  • 専門領域が狭い senior(自分の領域も Claude が書けるようになる)
  • business / 人と話すのが苦手な人(仕様策定がそもそもできない)

転換しやすいのは:

  • 元々アーキテクチャ / 設計が得意な人
  • business / product との折衝経験が豊富な人
  • MCP / agent orchestration / on-prem 推論など『AI を使う技術』を早く習得した人

わたしの周りでも、Claude Code / Cursor / GitHub Copilot Agent を 6 ヶ月以上使い込んでる人 と、「AI 補助は使うけど書くのは自分」って言ってる人 で、生産性が既に 3-5 倍開いてる感覚

この差は今後さらに広がる。土曜の朝から重い話だけど、今週の Code with Claude London の意味は「もう猶予がない」ってことを Anthropic が公式に告げた ってことだと思う。


まとめ: わたしたちエンジニアが今、考えるべきこと

Code with Claude London(5/19-21)の主要発表 2 つ(MCP tunnels + sandboxes)は、enterprise AI の on-prem / hybrid シフトの決定的な技術基盤

公式宣言 「Most software at Anthropic is now written by Claude」 は、AI が AI を書く再帰構造の公式可視化であり、Jack Clark の 2028 年 recursive self-improvement 予測の前段階

5/18 OpenAI×Dell on-prem 提携 + Code with Claude London の組み合わせは、「enterprise AI が public cloud 強制から離脱する週」 として記憶される可能性が高い。

エンジニア視点では 「書く」から「仕様策定 / 監督」への役割転換が、向こう 2-3 年で完全に進むMCP / sandbox / on-prem 推論 / agent orchestration を今から触っておくと、3 年後の市場価値が 5-10 倍変わる可能性。

土曜の朝、Fortune と MIT Technology Review の記事 2 本から、エンジニアの未来図が明確に見えた気がした。

関連記事: Claude Code 使い方完全ガイド / Cursor vs Claude Code 比較

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